処理の邪魔になる泡を消すために
工業では金属を錆から守ったり、塗料を密着させやすくするために、リン酸処理という方法が選択されることがあります。文字通りリン酸を使用して、金属との化学反応を引き起こすことで表面に膜を作る方法です。具体的な処理の方法は、上から処理液としてリン酸を吹きかけたり、小さい金属であれば浸透させるなど色々あります。ただどの方法でも共通しているのは、泡が処理の邪魔になるということです。リン酸処理の目的のひとつは金属の表面を滑らかにすることですが、処理の途中で泡が入り込むと、凹凸ができて本来の目的が果たせません。そのため消泡剤というものを使用して、泡が邪魔にならないように工夫するのはリン酸処理にとっては欠かせない工程です。
複数ある消泡剤の作用
工業で使用される消泡剤はいくつかの種類に分かれ、素材となる成分も異なります。そして種類によっては、泡を消すメカニズムも違ってきます。すでに表面にでき上がった泡に対しては、破泡作用という働きが有効的です。泡は界面活性の性質を持つものによって均等な状態になっているため、壊れずに済んでいます。その均等な状態に働きかけて泡を壊すのが破泡作用です。それに対して抑泡作用という働きでは、均等な状態をあらかじめ乱しておいて、泡ができること自体を防ぎます。その他には泡同士を作用させて破壊するものもあります。それぞれ泡が消えるタイミングや具体的な内容が異なるため、目的に合った種類を選択することが大切です。
プリンやゼリーなどを作る場合に、消泡剤を入れて作ると泡立たないので綺麗な見た目になります。食品工場などではよく使われています。